ブログ | 2022年02月22日

変化の機会: サプライチェーンに自動化の力を活用する

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製造業における自動化例として分かりやすい自動車製造において、最初のロボットが採用されたのは1960年代に遡り、1970年代にはその使用が急増しました。一方で、バックオフィスやサプライチェーンの計画プロセスにインテリジェント オートメーションが適用されるようになったのは、より最近の現象です。

また、標準化されたバーコードやコンテナの採用により、サプライチェーンにおけるスマートテクノロジーの利活用も定着していますが、この業界でAIと自動化ソリューションのメリットについて理解されだしたのは、ごく最近になってからのことです。複雑化するサプライチェーン、特に今日のように経済状況や国際情勢、気候などが常に変動する時代においては、これまで行われてきた手作業による取引のマッピングは困難です。

そのため、ルールが論理的で明確に定義されたサプライチェーンのような業務にとって、インテリジェント オートメーションは理想的なソリューションと言えるでしょう。

サプライチェーンの課題

問題の一つは、製造業者が顧客管理、財務、リソース計画などビジネスの様々な要件に合わせて個別に設けられたITシステムをサイロ化された状態で運用し続けていることにあります。そのため、工場のシステムとサプライチェーンの間に断絶が生じ、サプライチェーン全体の可視性が損なわれ、ジャストインタイム生産の運用では需給の変動に影響を受けやすくなっています。

その上、製造業者は安全衛生、税制、トレーサビリティなどに関する継続的かつ持続的な規制の変更に直面しています。製造業がサプライチェーンに自動化を活用して、これらすべての機能を1つのプラットフォームに集約するには、どうすればよいのでしょうか。

インテリジェント オートメーションとは

インテリジェント オートメーションは、業務プロセスに AIのようなテクノロジーを組み入れて、人とデジタルワーカーが協働する自動化です。個別タスクを自動化するRPA(ロボティック プロセス オートメーション)を超えて、業務全体やより複雑な業務などを自動化することで人とデジタルワーカーの協働を促します。

かつて、製造業者や小売事業者は必要な部材や製品を注文すると、納品を待つだけでした。注文から納品までの計画と予測は熟練した経験と勘を要することがありましたが、それらは従来どおり中断されることがなく、安定した状態を前提にしていました。それは裏を返せば、常に変動する状況下での計画と予測はより時間がかかる困難なことであり、場合によっては従来の経験が役に立たない場合もあり得ます。

デジタルワーカーは複数のソースからリアルタイムにデータを収集できるため、輸送状況が変化しても透明性を維持することができます。商品の配送元と配送先の事業者は、商品がどこにあり、いつ到着しそうなのかを常に把握することができます。

インテリジェント オートメーションはサプライチェーンに対してどのように有効なのか

サプライチェーン全体のプロセス効率を向上させるインテリジェント オートメーションは多くの業務で適用できます。
組織は、デジタルワーカーを適用する対象業務の範囲を拡大して、データを首尾一貫してマイニングし、「データ、分析、アクション」のサイクルをより確実に高速化するために活用することができます。

在庫管理

手作業による在庫量の確認や欠品の指摘など、在庫管理の一環として行われる業務は自動化に適しています。
部品や材料、完成品が在庫管理システムに正確に記録されている限り、デジタルワーカーは、近い将来の注文に対応するために、何が在庫にあり、何を補充する必要があるかを迅速かつ正確にチェックすることができます。

貨物および物流管理

製造業者はインテリジェント オートメーションを利用して、より効果的な物流計画を立てることができるようになります。運賃と物流管理のコストを削減し、顧客がサプライチェーン全体で商品を追跡できるようにするために必要なデータを提供できます。

需要予測と計画

インテリジェント オートメーションを活用することで、在庫を確認し、サプライヤーへの発注書を自動的に生成して、プロセスの遅延を防ぐだけでなく、スピードアップさせます。

バックオフィス業務の自動化

より効率的な注文と請求書の処理、より迅速な顧客サービス、そして強化された品質保証によって、顧客体験を向上できます。組織は顧客データからより優れた洞察を引き出し、進化する顧客の好みに対してより迅速に適応できます。
顧客が取引口座や登録アカウントを変更しようとする時、顧客は営業担当者や専用窓口に電話やメールなどで依頼し、紙書類の記入・送付といった手続きを経る必要がありまし。それらをデジタル化し、デジタルワーカーが登録情報の更新を担うプロセスに変えることで、顧客は専用サイトからアクセスし、直接的に登録情報を更新し、顧客が送信してからわずか数分の間に変更処理を完了します。顧客の利便性を高め、変更手続きに関する時間を節約できるだけでなく、製造業者のバックオフィス業務を自動化することでミスなく、かつスタッフの貴重な時間とリソースも節約します。

ファクトリーオートメーション

デジタルワーカーは、工場の設備やRFIDタグなどのIoTデバイスによって収集されたデータを機械学習と組み合わせて、照合、集計、分析の処理がされ、生産性の向上、業務効率の向上、さらなるコストの削減を実現します。
部品や部材、製品は生産サイクル全体にわたり追跡できます。デジタルワーカーは、さまざまなセンサーからデータを収集、クレンジングした後、予測アルゴリズムを使用して、予知保全を提供できます。その後、デジタルワーカーはダウンタイムを最小限に抑えるための適切なアクションを実行します。

製造業におけるサプライチェーン自動化のメリット

製造業者は、デジタルワーカーを活用することで、サプライチェーン全体の可視性を高め、顧客の要望に迅速に対応し、パーソナライゼーションやカスタマイズの強化など、顧客の期待の変化に適応して、顧客体験を変革することができます。

また、財務や会計から人事・在庫管理までのバックオフィス業務をデジタル化すると同時に、ビッグデータを活用して機械の稼働率向上、スループットの改善、在庫や物流の追跡を改善することもできます。

重要なのは、サプライチェーンにおけるインテリジェント オートメーションによって、人々が手作業から解放され、それによってより価値の高い仕事に従事する能力とキャパシティが高まるということです。これを実現できる最も価値ある領域のひとつは、規制コンプライアンスの要求を満たすことです。それらは常に変わり続け、手作業や表計算ソフトで集計すると膨大な時間と人的リソースを費やすことになります。

製造業とサプライチェーンの自動化

B2Bを対象にした製造業においても、顧客は消費者がEコマースの小売業者とやりとりするのと同じようなサービスレベルを期待するようになってきています。
顧客が求めるサービスは配送状況の確認、注文履歴の閲覧、リピート購入、保証やメンテナンスの記録確認など多岐にわたります。そして、これらのことを、必ずしもカスタマーサービスの担当者と話をすることなく、リアルタイムで行いたいと望んでいます。

もちろん、製造業のなかでも、特に複雑であったり高価格な製品だったりする場合は、営業担当者を介在した方が良い場合もあるでしょう。しかし、大量に生産される製品や部品のような製品については、顧客が必要としたときに必要なデータにアクセスできるモバイルアクセスやオンラインチャネルを利用したセルフサービスのチャネルを採用すべきです。

取引や物流が複雑なサプライヤーとの関係を維持および管理することは、効果的でモダンなサプライチェーンと効率的な生産に不可欠です。サプライヤーのパフォーマンスを最適化し、費用対効果を確保し、そのサプライヤーが規制や倫理的要件を遵守しているかどうかを監視することは困難な課題です。

これらを効率的かつ正確に提供する方法の一つは、業務プロセスを自動化し、複数のアプリケーションにまたがるデータソースを集約・統合することです。これまで数年間にわたりERPプラットフォームに投資してきた製造業にとって、基幹業務系システムを刷新することは容易ではありません。代わりに、サイロ化したシステム間でデータの取得と連携を担うデジタルワーカーを採用することで、それまで維持やメンテナンスに携わっていた人のリソースを、より生産性で付加価値の高い業務に振り向けることができるようになります。