ブログ | 2021年02月18日

RPA、インテリジェントオートメーション、およびハイパーオートメーションの違いは何ですか?

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自動化ソフトウェアの導入の検討において、マーケットでは多くの混乱が生まれています。説明のための用語も、ねずみ算式に急増しています。これらの用語は、アナリスト、ソフトウェアベンダー、およびソリューションインテグレーターがそれぞれ独自の解釈でマーケットで使用する際に作り出され、広まっています。ここでは、この暗号のように使用されている用語を解読して理解できるように、一部の用語を簡潔に説明しています。

ロボティックプロセスオートメーション

この言葉は自動化分野の初期の頃に用いられていました。ロボティックプロセスオートメーション(RPA)ではロボット、つまり「ボット」が使用されます。これは人間と同じようにアプリケーションを操作するソフトウェアエージェントとして定義されます。プロセスアナリストは、プログラミングインタフェースを定義せずに、アプリケーションのプロセスのどの部分を使用するかを定義し、一連のルールに従って変更を送信するようロボットを「学習」できます。

アプリケーションは、Windowsアプリケーション、Webページ、メインフレームアプリケーション、Javaアプリケーション、さらには旧式のテクノロジープラットフォーム上の自社開発アプリケーションでもかまいません。ボットを使うことで、「レポートを作成してメール送信する」というような単純なルールや、多数のステップを含む複雑なルールなど、ルールに従ってアプリケーションを操作できます。これらの手順には、アプリケーションの特定のフィールドを評価し、その後「在庫残高をチェックする。一定の金額に満たない場合は警告メールを送信し、一定の金額に達した場合は取引を処理して発注書に記載された場所に移送を開始する」などのルールに従うことが含まれる場合があります。

インテリジェントオートメーションやハイパーオートメーションを構築する際にはRPAのレイヤーを基盤とします。このコンセプトのもと、RPAプラットフォームでは各種アプリケーションとのインタラクションをプログラミングなしで実現する必要があります。通信を自動化する際にRPAがないと、人工知能(AI)での処理に必要な情報を含むさまざまな企業システムからデータを出力し、アクションを実行するために、多数のコネクターを新規開発する必要になります。

インテリジェントオートメーション

コグニティブオートメーションとも呼ばれるインテリジェントオートメーション(IA)は、人工知能とRPAの対話機能をリンクします。インテリジェントオートメーションでリンクする2つの基本的な概念は思考行動です。

RPAは行動部分を得意としており、ルールベースで作業を管理する機能がいくつかありますが、アクションの実行前に思考を必要とするいくつかの作業があります。この思考作業には、ドキュメントを読み取る作業、OCR(光学文字認識)によってコンピュータで使用できる形態にデータを抽出する作業などがあります。次に文書タイプを把握し、適切な処理を実行するためにIDP(インテリジェントドキュメントプロセッシング)を使用することができます。

たとえば、請求書を処理した経験があれば、ほとんどすべての会社に独自の請求書のフォーマットがあることをご存知でしょう。請求書のフォーマットが標準化されていないため、企業は、請求書を確認して会計システムに情報を入力するスタッフを雇うのが普通です。

請求書の枚数によっては、大量のスタッフやアウトソーシング会社との契約が必要になることもあります。インテリジェントオートメーションを構築してIDPで文書を読み取って把握し、RPAを使って結果を適切に処理することで、ソリューションによってシステムへの情報の手入力など、手作業に費やす時間を短縮できます

ただし、インテリジェントオートメーションは請求書の処理以外にも多くのことに活用できます。たとえば、自然言語処理(NLP)プラットフォームでは、自動化プロセスがメールを読み取ることで、サポートチームやチャットボットに寄せられた質問に対する洞察を提供し、顧客が企業にリアルタイムで問い合わせを行うのに役立ちます。

NLPプラットフォームでは顧客が何を求めているか(会話のインテント)、またメールやチャットの会話の中の言葉の裏にある感情エネルギーの量(センチメント)の両方を把握できます。これにより頻繁に使用される応答を活用して顧客に合わせて調整することで、RPAでメッセージを処理できるようになります。または担当者に転送して、よりパーソナルな方法で会話を管理し、顧客エクスペリエンスを向上させることもできます。

これらは、RPAと別のテクノロジーを組み合わせて豊かなエクスペリエンスの提供を目指すほんの一例です。また別の例としては、購入履歴の自動解析があります。買い物中にAIでパターン認識を行うというものです。これにより、マーケティングキャンペーンを改善したり、関連する新しい商品やサービスを提供したりする際の意思決定や能力に影響を及ぼします。RPAプラットフォームでデータ収集を自動化して、1つ以上のAIエンジンにフィードすることができれば、内部的にはトランザクション処理の履歴を見直し、外部的にはサプライヤーや物流業者からデータを取り込んでサプライチェーンマネジメントを改善することができ、業務を最適化する選択肢を大幅に増やすことができます。

RPAとAIを融合した強力なインテリジェントオートメーション

インテリジェントオートメーションの思考の部分による意思決定支援に加えて、行動の部分も見逃せない重要な要素です。RPAとAIの組み合わせにより、様々な企業システムから情報を抽出し、そのデータを強力なアルゴリズムで評価するという魅力的な機能が提供されます。ただし、本当の魔法は、AIエンジンによって決定されたことを行動に移すことで生まれますAI単体は、切り離された頭脳のようなものです。RPAの機能がなければ、AIには評価に必要なデータを抽出するデータベースシステムとの特別な接続が必要になり、AIの意思決定を行動に移すAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)のコーディングも必要になります。

たとえば、銀行システムで不正な取引をチェックする場合、口座からデータを抽出してAIアルゴリズムに入力します。AIエンジンは、顧客の通常の支出パターンと一致しているかどうか、違法な資金供給にならないかどうかチェックします。それでも、これらのチェックを行うだけでは十分ではありません。

もし、不正な取引と判断された場合、または少なくとも追加の審査が必要と判断された場合、AIエンジンはその取引を停止したり、不正の可能性について誰かに警告したりするような行動を取る必要があります。その行動は行政機関への報告、取引の凍結、審査部門への連絡、顧客への通知など、複雑なアクションになるかもしれません。

RPAシステムを活用すると、それらのアクションをプログラミングすることなく、組織内外のさまざまなシステムと情報をやり取りしてすばやく簡単に処理できます。RPAで行動できなければ、AIの思考部分には、より多くの労力が求められます。そのため、RPAとAIの組み合わせにより、インテリジェントオートメーションは強力なツールになるといえます。

ハイパーオートメーション

ガートナーが定義する「ハイパーオートメーション」という用語は、インテリジェントオートメーションの概念を拡張し、新たなアプリケーションを追加したものを指して用いられています。RPAとBPM(ビジネスプロセスマネジメント)ツール、そしてAIやアナリティクスを組み合わせて、業務関連データを取得しつつ、AIアルゴリズムで意思決定や分析を行うワークフロー処理のフレームワークを構築します。この種のフレームワークでは、OCR、IDP、NLPなどの各種AIテクノロジーを活用して会社から出力されるデータや、会社の作業フローまた情報処理方法に関するメタデータとやり取りすることで複雑なインタラクションが実現されます。

ここでの目標は通常、DTO(組織のデジタルツイン)を作成して会社業務を近似し、業務を改善するためのモデリングを追加できるようにすることです。たとえば、DTOで価格や売上に関するデータを取得し、特定のマーケットで収益性を管理した場合のインパクトをモデル化できます。過去の履歴データに基づくデジタルツインモデルでは、物流コスト、倉庫保管コスト、出荷部門の人件費、サプライチェーン要件、全体的な収益性などの変更をモデル化できる可能性があります。これらの価格変更はマーケットを限定または選択して実施した場合についても、全社的にリアルタイムでモデル化できます。

システムからの自動フィードバックにより、様々なシフトの人員配置で必要な調整を行い、その変更を複数のシステムに適用し、その際すべてをリアルタイムで追跡できます。繰り返しになりますが、これはハイパーオートメーションフレームワークの一例に過ぎません。インテリジェントオートメーションはさらに進化を続け、デジタル頭脳を自動化プロセスに適用するだけにとどまりません。AIアルゴリズムから変更や意思決定のフィードバックを受けて業務のパラメーターを調整できるような可能性が生まれます。

自動化と仕事の未来

自動化テクノロジーの進歩に伴って、RPA、インテリジェントオートメーション、ハイパーオートメーションも進化を続け、AIエンジンによる業務の意思決定支援も向上していくと思われます。最初に一歩踏み出すのは難しいかもしれませんが、大きなビジョンを描くことで、RPAからハイパーオートメーションまで自動化レイヤーを構築できた場合には大きなリターンが得られます。最大のリスクは大きなビジョンを描けないでいる間に、テクノロジーの導入で他社に先を越され、競合優位性を奪われてしまうことです。

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RPA入門シリーズ

このブログ記事は5部からなるシリーズの第1部です。以下の残りの投稿もご覧ください。後の2部もお楽しみに!