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ブログ | 2024年01月12日

2024年の銀行業務に関するテクノロジーと自動化のトレンド

2024年の銀行業務に関するテクノロジーと自動化のトレンド
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2024年の銀行業務に関するテクノロジーと自動化の4つのトレンド

毎年毎年、同じバズワードが銀行の金庫室に響き渡っている状況に遭遇してきたのではないでしょうか。銀行の未来、オープンバンキング、組み込み型金融、プラットフォームバンキング、Banking as a Serviceといった言葉です。

これらの用語は濫用されていてほとんど決まり文句のように感じられるかもしれませんが、最近の技術的な飛躍は新しい興奮の波で業界を再活性化してきました。2024年、銀行業務の自動化の可能性は、信じられないこととしか言いようがありません。

小売銀行領域における4つのテクノロジーのトレンドと予測を、SS&C Blue Prismの追加の洞察とともに見ていきましょう。

#1:生成AI

2024年の予測:銀行は生成AIを通じて競合優位性を得るための迅速かつ安全な方法を求めるでしょう。

主な要点:

  • 銀行は引き続きプロセスの非効率性を排除することに重点を置きます。
  • 銀行は、生成AIを使用して特に顧客との対話に関する既存の投資を強化することを重視します。
  • 生成AIのコンプライアンス、セキュリティ、規制が考慮される必要があり、この責任はソフトウェアプロバイダーにまで及びます。銀行はここでデューデリジェンスを行います。

洞察:

私たちは、小売銀行は2024年に、生成AIをどのように使用してビジネスからこれらの非効率性を排除し、顧客体験を向上させることができるかを探るために着実に動くだろうと予測しています。例えば、データの欠落や、不一致、不完全な部分がある場合に新規ローン申請者にただちに警告するといったタスクに生成AIを適用することで、顧客の離脱率が減少し、所要時間が短縮され、運用効率が向上します。融資制限の強化や金利の不確実性と相まって、適格な顧客を獲得するための競争は激化するでしょう。ローン処理の高速化など、銀行が競争優位性を得られるようにするための投資は、おそらく有益な支出になるでしょう。

生成AIによって、[McKinsey Global Institute]が分析した63のユースケース全体で年間2兆6,000億ドルから4兆4,000億ドルに相当する価値がもたらされる可能性があります。産業分類の中でも銀行業は最大の機会を持つことが予想され、年間2,000億ドル~3,400億ドル(営業利益の9~15パーセントに相当)の可能性が見込まれています。主に生産性の向上によるものです。」

マッキンゼー・アンド・カンパニー

, 生成AIの経済的可能性次の生産性の最前線

生成AIはリーダーたちにとって優先度の高いものです。AIに関する意思決定者の33%が、自社で生成AIの使用を拡大していると述べており、29%が実験中であると述べています。」

Forrester、Predictions 2024:The Future of Work 

ただし、生成AIの倫理、コンプライアンス、セキュリティはまだ議論の中心のトピックであるため、消費者銀行は生成AIを活用した助言といった新しい領域に参入するよりも、銀行業務の自動化などの既存のテクノロジーの強化に注力するでしょう。例えば、チャットボットをより高性能にしてもっと優れたカスタマーサポートを提供できるようにすることや、キャンペーンや製品の提供でパーソナライゼーションを高めることなどです。

また、銀行は迅速に顧客体験を改善して成長を推進し費用を節約できる低リスクのプログラム入念に選ぶだろうと、私たちは考えます。同時に、これによって従業員はより価値の高い仕事を行うことができるようになり、より情報に基づいた意思決定ができるようサポートが提供されるので、生産性が向上するでしょう。

Jeremy

消費者保護法が確実に遵守されるように規制対策本部がすでに発足しており、この詳細は2024年も引き続き見られるでしょう。主要銀行は、個人と部門の両方のレベルでAIがどのように導入されているかを注意深く監視するでしょう。また、銀行は、生成AIを自社テクノロジーに組み込むために競争しているソフトウェアプロバイダーが、必要なデューデリジェンスを行っていることを確信する必要もあります。強力なガバナンスと監視を組み合わせることで、自動化は、生成AIツールの監視とアクセスにおいて重要な役割を果たすことになります。個人のログインの追跡や使用状況の監視から、データ出力のレポーティングとアーカイブまで、あらゆることにおいてです。」

ジェレミー・マッキンレー(Jeremy Mackinlay)

SS&C Blue Prism、シニアインダストリーマーケティングマネージャー, LinkedIn

#2:データの民主化

2024年の予測:データの民主化においては大きな進歩が見られるでしょう。

主な要点:

  • レガシーシステムは依然として、デジタル化に向けた銀行の取り組みの進行を妨げています。
  • データの民主化は、銀行と顧客の双方にとってメリットがあります。
  • データの課題を解決し、よりパーソナライズされた金融サービスをサポートするうえで、インテリジェントオートメーションが重要になります。

洞察

銀行は、真のビジネス価値をもたらす新興テクノロジーに関する適切なデータが必要です。同じく重要なこととして、銀行は、従来は部門や相互運用性のないシステム間でさまざまな形式で存在していたデータソースにアクセスできる必要があります。その時初めて、新しいパートナーシップを構築し、新しい価値を創出し、パーソナライズされた製品やサービスを生み出すことができるようになるのです。しかし、レガシーシステムは依然として、銀行のデジタルトランスメーションの取り組みの進行を妨げています。

同時に、データの民主化は顧客のデータにも適用されます。データの民主化により、顧客がお金を預けたり借り入れたりしたすべての金融サービスと金融機関を単一のビューで確認できるようになります。オープンバンキングは2024年についに主流になる予定であり、特に米国では規制に関する障害がなくなる予定です。また、組み込み型金融が着実に成長しているため、小売顧客は、ますます複雑化している財務上の取り決めを明確に把握する必要があります。

結果として、私たちは現在、データサイロ、レガシーシステム、一貫性のないデータタイプを解決するためのツールの一つとしてインテリジェントオートメーション(IA)の使用の増大を目の当たりにしています。これは、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)、AI(人工知能)、機械学習(ML)、その他のコグニティブテクノロジーを相補的に組み合わせたものです。銀行がより成熟し、自動化の導入に自信を持つようになると、オープンバンキングへの移行により、IAを使用して顧客データがデジタル化、構造化され、銀行組織と顧客の両方に役立つようにアクセス、整理、分析可能になるだろうと私たちは考えています。

CIOは既に、ローコードプラットフォームなどのテクノロジーを使用して民主化されたデジタル配信の基盤を築いています。ローコードプラットフォームは、CIOの64%が、導入済みであるか今後24か月以内に導入予定であると述べています。」

Gartner

, Gartnerのプレスリリース、2,400人を超えるCIOを対象としたGartnerの調査で、CIOの45%がデジタルリーダーシップの共有への移行を推進していることが明らかに、2023年10月17日

データの民主化を実現させれば、さまざまなセグメントの顧客が、高度にパーソナライズされたオファーを受け取って、投資に関してより適切な意思決定を行えるようになり、データから利益を得られるようになります。適切なガバナンスとガードレールを設けることで、銀行はこのデータを利用して、顧客をより深く理解し、情報に基づいた意思決定を行うこともできます。

Chris

個々の部門やチームに権限を与える傾向が高まっています。独自の自動化ソリューションを作成、管理できるようにすることで、ビジネスはこれまでのように一元化されたITに依存するのを回避し、より迅速なデプロイと、カスタマイズされたソリューションを実現できます。

クリストファー・グローネ・スカアニルド(Christopher Grønne Skaanild)

競合情報分析責任者, LinkedIn

パトリック・タイン(Patrick Tyne)

ITシステムは自動化のサイロであり、私たちは人間の手によって、サイロ化されたシステム内のデータと対話したり、システム間でデータを移動したりしています。人件費が急増し続けている以上、サービスおよびナレッジワーカー全体の生産性が向上する必要があります。

パトリック・タイン(Patrick Tyne)

商品管理VP, LinkedIn

#3:顧客の焦点

2024年の予測:顧客体験を改善させるための躍進の年になるでしょう。

主な要点:

  • 2024年は銀行の顧客の年になるでしょう。顧客体験の改善に注力することは最優先事項になり、これは単なるオンボーディングの改善にとどまりません。
  • 2024年、私たちは顧客体験の重要な瞬間を示す3つの要因を特定します。従来の銀行へのニッチな顧客セグメントの知識の移転、顧客切り替えの増加、新世代のIAツールの登場です。

洞察:

顧客サービスと顧客体験の強化は小売銀行にとって長い間最優先事項であり、オンボーディングはここ数年、自動化の主要なユースケースとして君臨してきました。ただし、2024年は小売銀行にとってターニングポイントになるだろうと私たちは予想しています。銀行業務の顧客体験を高め、すばらしい体験を提供することを真に検討するでしょう。

世界の平均的な顧客体験が3年ぶりに改善します。

Forrester、Predictions 2024:顧客体験

これには、住宅ローンの申し込みなどの確立されたプロセスから、 亡くなった顧客の口座の閉鎖や、代理人による口座処理などのニッチなサービスまでが含まれ、改善の範囲はリアルタイムのID認証やクレジットカードの交換などのマイクロジャーニーにまで及ぶでしょう。このような体験は個人には頻繁に発生しない可能性がありますが、非常に重要であり、この先何年にもわたって顧客ロイヤルティと推奨を形成します。

2024年が顧客体験にとって重要な年になる理由は3つ挙げられます。

  1. ニッチなフィンテックの専門知識とサービスは、買収や人材の雇用を通じて従来の銀行業務に移行しつつあります。
  2. プロセスの合理化および金利低迷の終焉と相まって、プロバイダーを切り替えたいという顧客の意欲の高まりにより、一際優れた顧客体験を提供するプロバイダーのマーケットシェアが拡大します。
  3. 最新世代のAIツールにより、銀行は迅速で簡単な顧客体験を生み出すことができるようになります。このような顧客体験は、Know Your Customer(KYC)チェックの高速化、デジタルオンボーディング、不正の検出、シームレスな設計プロセスを特長とし、特に、若い顧客やテクノロジーに精通している顧客のデジタルバンキングに対する期待に応えます。

#4:従業員の注目

2024年の予測:銀行業務の基本への回帰 — 従業員が持つ才能の価値を解き放つ

主な要点:

  • 銀行業務における人材争奪戦は持続します。
  • 銀行は自動化とAIを活用したテクノロジーを戦略的にデプロイし、仕事の満足度を高め、やりがいの少ないタスクをテクノロジーに置き換える必要があります。

洞察:

労働市場が逼迫している中でも、新たな変革プログラムを実現するための人材争奪戦は衰えることなく続くでしょう。銀行は2つの選択肢に直面しています。1つは、一流の専門家を引きつけるために多大な投資を行うこと、もう1つは、社内プログラムを確立して、既存の従業員のキャリアを育み発展させることです。後者のアプローチには、従業員の特定分野の専門家を活用し、ビジネスの利益のために業界のノウハウとテクノロジーの進歩を橋渡しできるようにすることが含まれます。

下位業務レベルでは、採用が伸び悩む可能性があり、 離職率が高いままです。特に、多くのZ世代の従業員が、銀行業務でのキャリアに無関心であるためです。銀行は、仕事の満足度を高めるために自動化とAIをいつ導入すべきか、また、やりがいの少ないタスクをいつテクノロジーに完全に置き換えるべきかを決定する必要があります。

すばらしいカスタマージャーニーを設計し、組織全体でデータにアクセスできるようにし、平凡なタスクの銀行業務から解放することで、従業員はより良いキャリアの選択肢を持ち、顧客を満足させ、より興味深い仕事をしながら2025年に期待できるようになります。それは祝うべきことです。

テッド・シェルトン(Ted Shelton)

新世代のAIベースの自動化ツールは、「シチズンデベロッパー」の活動を活性化させ、個人がこなせる作業量を増やして生産性を向上させるでしょう。」

テッド・シェルトン(Ted Shelton)

Bain & Company, LinkedIn

IAと銀行テクノロジーの未来

IAが2024年にどのように役立つかに関する詳細については、2024年のインテリジェントオートメーション予測のeBookをご覧ください。IAの情勢を形成するトレンドと洞察を探り、この1年のデジタルトランスフォーメーションに関する貴重な視点を入手します。

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