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ブログ | 2023年06月01日

お客様主導のNext Generation

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SS&C Blue Prismにとってお客様はすべての中心であり、Next Generationプラットフォームも例外ではありません。

5月18日開催のライブ配信イベントで発表されたNext Generationプラットフォームは、お客様でありエンドユーザである皆様とともに創出するソリューションです。

当社はトータルトランスフォーメーションにフォーカスしており、お客様が迅速、安全、持続的に規模を拡大できる新しい手段の価値発見に努めています。お客様の要望を取り入れるだけでなく、SS&C Blue Prismコミュニティからアイデアを吸い上げ、インテリジェントオートメーション(IA)の導入がお客様のビジネスにもたらすメリットを追求しています。そのため、当社製品の将来的な方向性の検討や決定においてお客様が重要な役割を担っているのと同様に、今年はイベントの構成や話題もお客様を重視して決定されました。

Blue Prismは、組織が計画的自動化に注力し、自動化の取り組みにおいて次の大きな一歩を踏み出せるようにすることをビジョンに掲げています。利用可能なテクノロジーが多岐にわたり、懐疑的な経済情勢が続く今、私たちはIAが最も価値を生み出せる領域を明らかにする必要があります。

上記を踏まえて、この記事では、IAにおいて現在直面している主な課題についてお客様や専門家のパネリストと協議した内容を一部ご紹介します。

State Street Bank

State Street Bankでバイオニクスプラットフォーム・製品・サービス担当ディレクターを務めるGiovanni Gentile氏をお招きしました同行は米国を拠点とする金融サービス・投資機関であり、Gentile氏がチームに加入した際にはすでにロボティックプロセスオートメーション(RPA)とコグニティブコンピューティングを導入していました。

Gentile氏は、同行のテクノロジーが「テクノロジーのために」使われており、ビジネス価値を高めるために活用されていないことにすぐに気付きました。同氏はまず、センターオブエクセレンス(CoE)を確立し、約55のプロセスで稼働するRPAデジタルワーカーを500に増やしました。

これに伴い、自動化に人工知能(AI)が取り入れられ、全社規模のコラボレーションが実現しました。取り組みはさらに続きます。部門間で自動化を連携させて、組織全体にメリットをもたらす一気通貫のソリューションを追求したのです。

IAの導入により、State Street Bankは顧客のオンボーディングとKYC(Know Your Customer)プロセスを2~3か月で開始できるようになり、そのプロセスを17日間短縮することに成功し、2~300万ドルの収益を生み出しました。

このような計画的な自動化により、同行はトランスフォーメーションで大きな成果を得ています。今後も、さらなる価値を求めて自動化プログラムを発展させていく予定です。

本質の理解が足りないケースも 

何が自動化の足かせとなっているのでしょうか?SS&C Blue Prismで製品管理担当ディレクターを務めるColin Redbondは、次のように考察しています。組織における自動化プログラムの成否は、経営陣の賛同を得られるかどうかに大きくかかっています。Redbondは、組織が抱える最大の課題の1つに「必要なリソースを確保するために経営陣から十分な賛同を得ること」を挙げており、「知識やデータの不足という問題を抱えながら、お客様はこのテクノロジーソリューションを導入しています。そのような中で、経営陣の賛同がなければ連携を実現できません」と指摘します。

経営陣の賛同がなければ、チームは自動化プログラムを模索できません。

同氏は、次のように関係構築の重要性を訴えます。「テクノロジーは問題ではありません。重要なのは人であり、人同士が連携できるかどうかです。私たちは、良好な関係と協力体制を確立することで多くの成功を収めてきました。コラボレーションが成功のカギなのです」。

ジョヴァンニ・ジェンティーレ(Giovanni Gentile)氏、State Street Bankバイオニクス担当ディレクター
ジョヴァンニ・ジェンティーレ(Giovanni Gentile)氏、State Street Bankバイオニクス担当ディレクター

経営陣の賛同についてパネリストの皆様に話し合っていただき、SS&C Blue Prismの顧客体験についてお話を伺いました。

今年度のカスタマーエクセレンスアワードを受賞したLancashire PoliceのViren Patel氏は、経営陣から賛同を得る際に最優先で取り組むべき課題の1つはプロセスを理解することだと述べています。問題点を把握できても、プロセスへの理解が不足していれば、その問題を調べて適切なソリューションを見つけるのに時間がかかるためです。


ヴィレン・パテル(VirenPatel)氏、Lancashire Police
ヴィレン・パテル(VirenPatel)氏、Lancashire Police


さらに、RPAが人から仕事を奪うのではないかという不安が広まっており、IAソリューションを検討している多くの組織にとって信頼が重要な要素となっています。

経営陣の賛同を得る方法

Gentile氏は、自動化を経営陣に売り込む際の課題に着目し、独立型のフェデレーションモデルを考案しました。フェデレーションモデルでは、運用の所有権が企業に帰属するため、ソリューションが使い捨てにならず、DNAとして事業運営に組み込まれます。

自動化を実現するツールとその所有権を企業が持つことで、成果を経営陣に示すことができます。

社内で信頼関係を築く方法

RPAが人から仕事を奪うのではないかという懸念は、最近のChatGPTの登場によってさらに高まっています。非技術者にとって、AIは恐ろしい存在に映るかもしれません。

そこで、信頼関係を築くことが重要になります。自動化によるメリットを想定して、従業員と意見を交わすことが何より有効な手段でしょう。Acacium GroupのJordanna Green氏は、信頼を築く最善の方法は、触れづらい話題を取り上げて率直に話し合い、従業員が抱えている不安を解消することだと述べています。

ジョーダン・グリーン(Jordanna Green)氏、Acacium Group
ジョーダン・グリーン(Jordanna Green)氏、Acacium Group


RPAの導入により、いかに仕事のやりがいや生産性が高まり、人材のスキル向上が実現するかを理解してもらうことが、組織全体にとって有益となります。従業員間での良好なコミュニケーション、連携、コーチングを実現できれば、Green氏の指摘どおり、自動化を恐れていた人々が自動化を支持するようになるでしょう。

従業員を自動化に参加させる方法

Colin Redbondが、自動化プログラムにおける統制とフェデレーションの適切な組み合わせについて説明しています。ガバナンスを確立しないまま従業員をプログラムに参加させた場合、労力の重複やコンプライアンスリスクにつながるおそれがあります。業界を問わず、自動化にアクセスするメンバーについて独自の基準を設ける必要があり、フェデレーションモデルはそのような制約を策定するのに役立ちます。

Gentileは次のように述べています。「ガバナンスは、私が最も頭を悩ませたくないものであると同時に、最も注意しなければならない要素です。特に、規制の多い金融市場では注意が必要です」。

また、チームのフェデレーションでは適切なCoEを確立することが重要だと指摘します。CoEの確立とは、従業員が自動化に取り組める体制を社内で整備することを指します。これにより学習と統制が自然と進み、ゆくゆくは従業員自身で自動化を構築できるようになります。さらにフェデレーションモデルでは、標準化、最適化、一連の構成要素に関する背景情報を集約することが可能です。

シチズンデベロップメントプログラムの成功例

イルファーン・マクソス(Erfan Makhsos)氏、Volvo Cars
イルファーン・マクソス(Erfan Makhsos)氏、Volvo Cars


Volvo CarsのErfan Makhsos氏がVolvoのシチズンデベロップメントプログラムを導入した当初の目的は、ツールの基盤習得や機能学習にありました。その時点ではデベロッパーのフェデレーションを意図しておらず、単に教育を促すことが目的でした。Makhsos氏のチームは、所属組織のプロセスの専門家として自身の業務にまず目を向け、プロセスの標準化に取り組みました。

これにより、同氏のチームはプログラムを大きく発展させました。ツールの操作方法や機能について基礎を学べる環境を整備したことで、チームはより最適化できる業務上の領域を見出し、自動化を他のチームに広める担い手となりました。

Makhsos氏の組織では、キャリアパスを通じてシチズンデベロップメントチームに報いています。これはチームにとって、新たなことを学び、キャリアを転換し、スキルを伸ばす機会となっているのです。

従業員から変革への賛同を得る方法

Gentile氏によると、全員に共通の理解を持ってもらうには、トップダウンで自動化プログラムへの同意を得ることが重要です。Gentile氏のチームが克服した障壁は、ポイント・ツー・ポイントの自動化から一気通貫のソリューションに焦点を移すことでした。同氏は次のように話し、何より重要なのは全員がテクノロジーを活用することだと指摘します。「テクノロジーを導入するのは簡単です。重要なのは、人です。人同士の連携を実現するのが何より難しいのです。団結すればどんなことでも達成可能ですが、そのためには全員に共通の理解を持ってもらう必要があります」。

Redbondは、多くの人が念頭に置いているであろう従業員数やコスト削減にとどまらず、その先を見据えることを提案しています。顧客体験や従業員体験の向上など、自動化がもたらす価値について考えましょう。現在の取り組みが従業員に何をもたらすのか、考えてみてください。

コリン・レッドボンド(Colin Redbond)氏、SS&C Blue Prism製品管理担当ディレクター
コリン・レッドボンド(Colin Redbond)氏、SS&C Blue Prism製品管理担当ディレクター

自動化の成功を測る方法

Thames Valley PoliceのTom Kempster氏からは、自動化の成功を測る方法についてお話しいただきました。節約やコスト削減も要素の1つですが、Kempster氏のチームにとっては市民の体験や治安維持の向上も同様に重要な指標です。

トム・ケンプスター(Tom Kempster)氏、Thames Valley Police
トム・ケンプスター(Tom Kempster)氏、Thames Valley Police

管理上の要件、コンプライアンス、データ品質、データの健全性、バックエンドの構造も指標の1つです。そして最後に、キャパシティの解放に注目します。つまり、キャパシティと需要のギャップを埋めるためにRPAを活用しているのです。Kempster氏のチームは、大まかな指標から実務上の指標に至るまで、自動化の価値測定に用いる指標を階層化しています。

これにより、同氏のチームは自らのビジネスケースが一過性の活動でないことに気付きました。むしろ、年々変化する目標に基づいてデジタルワーカーの展開先を次々と見出していく、継続的かつ発展的な戦略なのです。

BPMとRPA、どちらから着手するか

IDCでインテリジェントプロセス自動化リサーチプログラム担当責任者を務めるMaureen Fleming氏からは、自動化の枠組みを拡大してフォーカスをタスクの自動化から業務プロセスの改善に移行する際の取り組みについてお話しいただきました。自動化の初期にはこのような移行が困難に思えることが多く、その成否は、優れた自動化ベンダーを選択できるかどうかに大きく左右されます。

Redbondは、BPMから着手した場合とRPAから着手した場合では、組織が遭遇する課題も異なると述べています。RPAの導入から着手する組織の多くは、ヒューマンインザループ(HITL)を直ちに確立したいと考えます。その実現には基本的なオーケストレーションが必要ですが、それはBPMでの全面的なオーケストレーションとは異なるものです。BPMから着手する場合、導入にあたり多くの投資が必要になるため、「いかに効率化しながら、いかに価値を生み出すか」が課題となります。

Fleming氏によれば、HITLの導入と同時に業務が複雑化します。Makhsos氏はこれに賛同し、SS&C | Blue Prism® Directorによってこのような障壁を克服したと述べています。自動化の拡大に着手すると前述のようなオーケストレーションの課題に遭遇しますが、Directorを使用することでこれに対処できます。Fleming氏はアナリストとして、中間オーケストレーション層の解明とソリューションの模索に多くの時間を費やしています。

ジェネレーティブAIが適している計画的自動化の領域

Makhsos氏のチームは現在、プライバシーとデータ保護の観点からジェネレーティブAIを利用していません。しかし、近い将来、セキュリティ機能の移行が見られるだろうと予測しています。すでに、一部の業務をサポートする個人用アシスタントとしてジェネレーティブAIの活用を求める声が出てきています。「電子メールへの返信から、関係者の苦情への回答まで、ChatGPTに『どう回答すればいい?』と尋ねてみましょう」といった意見が見られます。Makhsos氏は、このテクノロジーによってAPIの本体を生成し、独自のパラメーターを組み込めるようになると期待を寄せています。

その実現のための最初のステップは、敷居を低くすることです。第2段階は、すでにGitHub Copilotを使ってより速くコーディングを行うデベロッパーのように、AIによる対話型の開発を行うことです。第3段階は根本原因分析、デバッグ、自己修復の実施であり、最終的にはAIがデジタルワークフォースを管理するようになるだろうとMakhsos氏は述べています。

Gentile氏は、ジェネレーティブAIが開発期間の短縮につながると考えています。金融業界のような規制の厳しい業界でジェネレーティブAIのセキュリティへの信頼が高まれば、将来的な発展にも一役買うことになります。

ユーザーの自主性を取り戻すには

モーリーン・フレミング(Maureen Fleming)氏、IDCプログラム担当責任者
モーリーン・フレミング(Maureen Fleming)氏、IDCプログラム担当責任者


Fleming氏は、ユーザに自主性を与えることが大きく影響すると考えており、それが今後の基礎モデルに多くの可能性と変化をもたらすだろうと述べています。

AIの安全性を最高水準に引き上げる取り組みが続いており、現在のところ、オープンAIではその達成に至っていません。しかし、私たちはその時に備えておく必要があります。同氏は、このような新テクノロジーの開発が基礎モデルの競争を激化させると予測しており、新テクノロジーを選ぶ際には慎重に検討するようユーザーに助言しています。

お客様との意見交換

パネルディスカッションでは、BPMやRPA、シチズンデベロップメント、ジェネレーティブAIに至るまで、さまざまなトピックについて意見が交わされました。しかし、これで終わりではありません。お客様とのこのようなやり取りを今後も続けていきたいと考えています。SS&C Blue Prismは、新製品の開発や進化するテクノロジーへの取り組みに、お客様にも参加していただきたいと考えています。

IAによって自社の従業員を強化するとともに、当社の自動化の取り組みに加わっていただければ幸いです。

Next Generationの構築を皆様とともに

当社は、過去数年間にわたり、エンドユーザーのコミュニティから得た意見を製品ライフサイクルに取り入れてきました。これまで基礎を固めてきましたが、このプロセスをコラボレーション可能な、反復的かつ透明性のあるものにしたいと考えています。

SS&C Blue Prismの次世代製品の設計・フィードバックプロセスにご参加いただけるエンドユーザーの皆様は、今すぐ製品リサーチプログラムにご参加ください

こちらから、春の製品発表の録画を視聴いただけます。参加者の皆様のご意見をぜひご覧ください。

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